保育園の調理師として働いてみたいけど、調理以外にどのような仕事内容があるのか知っておきたいですよね。
保育園の調理師の仕事内容は、調理や給食の配膳以外にも、衛生管理や食材の発注、食育活動が挙げられます。
本記事では、体験談を基にして保育園調理師の仕事内容や働くメリットとデメリット、どんな人が向いているかを詳しく説明していきます。
「働くなら長く勤めたい」「やりがいや魅力を知りたい」と思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
保育園の調理師の仕事内容は5つ
保育園の調理師の仕事内容は、大きく分けて5つあります。
- 給食・おやつ作り
- 配膳・下膳
- 衛生管理
- 食材の発注・管理
- 食育活動
それぞれの内容をみていきましょう。
1.給食・おやつ作り
保育園調理師の基本の仕事内容は、給食とおやつ作りです。
各保育園によりますが、1日の給食・おやつ作りの主な流れは、以下です。
①献立に基づく指示書を見ながら、必要な食材の準備
②食材の切りこみ
③主菜・副菜・汁の調理
④盛り付け
⑤食器洗浄などの片付け・調理場の消毒
⑥指示書を基に材料を計量しておやつの調理
⑦片付け・清掃
特別措置として、年齢別に食材の大きさや柔らかさを変えたり、アレルギー持ちの園児には個別に対応したりすることもあります。
2.配膳・下膳
給食やおやつを作った後には、配膳と下膳まで行うことも調理師の仕事内容の一つです。
各クラスの先生たちは、食事の前後に子ども達の手洗いやトイレ、着替えに対応しているため調理師が配膳・下膳をするケースもあります。
配膳・下膳の手順は、以下のとおりです。
①1人分ずつ皿に盛り付けた給食やおやつをコンテナのような箱に並べ入れる
②コンテナを各クラスに運ぶ
③食べ終わった頃に各クラスに取りに行く
※年中・年長児では、おかずを食缶に入れて保育室に運び、子ども達が一緒に配膳する園もあります。
保育園全体の1日の流れをスムーズに行うためにも、保育園の調理師による、配膳・下膳は欠かせません。
3.衛生管理
保育園の調理師は、給食室内の衛生管理をする仕事もあります。
保育園では、感染症のまん延や食中毒を防ぐため、徹底した衛生管理をしなければなりません。
具体的な内容の一部を紹介します。
- 調理前の調理従事者の健康状態チェックをする
- 生肉用や調理済み食品用など、各区分で包丁とまな板を使い分ける
- 調理工程別の温度管理を徹底する
- 食器や調理器具をこまめに洗浄・消毒する
- 全ての食品が調理場内から搬出されてから清掃をする
(参考:大量調理施設衛生マニュアル|2016改正)
他にも細かく衛生管理の項目が設定されており、マニュアルを基に衛生管理を徹底的に遂行します。
給食室の衛生管理が日々の安全な食事につながるため、欠かせない業務の一つです。
出典:厚生労働省.(2016改正).大量調理施設衛生マニュアル
4.食材の発注・管理
給食やおやつを作るためには、納品業者への食材の発注や在庫管理も必要です。
給食やおやつに使う材料のほとんどが、業者から届けられます。
そのため、調理指示書を参考に、現在の在庫と照らし合わせて不足分を注文しなければなりません。
また、届いた食材はそのまま使用せず、
- 鮮度
- 消費期限
- 賞味期限
などが守られているかを確認し、適切な温度で管理します。
食品ロスを防ぐためにも、在庫の管理は重要です。
5.食育活動
保育園の調理師は、園の食育活動に関わる機会もあるでしょう。
食育活動は、子ども達の食べる意欲の基礎を作るために実施されています。
各園が、「楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~」(厚生労働省,2004)を基に年間の食育計画を立ててから活動します。
食育活動の一例として
- 季節の野菜を栽培・収穫し、給食で食べる体験
- 実際に簡単な調理をする体験
などが挙げられます。
子ども達に栽培の楽しさや大変さ、調理の楽しさなどを伝える役割も担っています。
食育活動が楽しく安全に進むように、サポート役に努めましょう。
<出典>
- 内閣府.(2024年9月30日).「食べる力」=「生きる力」を育む「食育」。実践の環(わ)を広げよう/政府広報オンライン
- 厚生労働省.(2004).楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~
保育園の調理師の仕事内容におけるメリット3選
保育園の調理師の仕事内容におけるメリットは、
- 残業が少なく給料が安定している
- 子どもの「おいしい」の声を直接聞ける
- 献立のレパートリーが増える
主に以上の3つです。
仕事のやりがいに直結するため、ぜひ参考にしてみてください。
1.残業が少なく給料が安定している
保育園の調理師の仕事は、残業が少なく給料が安定してます。
定時終業を推奨している保育園が多く、やむを得ず残業が発生する時は、残業代を1分単位で支給する園もあります。
保育園の調理師の給料は、地域によって偏りはありますが、全国平均の値を参考にした以下の表を目安にしてください。
| 雇用形態 | 給与 |
| 正社員 | 時給 約1,800円 |
| パート | 時給 約1,200円 |
出典:厚生労働省.職業情報提供サイトjob tag「給食調理員」
※正社員は賞与を省き、勤務日数(平均21日)×8時間×12か月から時給換算しています。
※全国平均の給与を大幅に下回る保育園もあります。
調理師免許の資格手当や処遇改善手当など、各種手当がつく場合もあるでしょう。
また、保育園では、学校給食のように夏休みなどの長期休暇がないため、給料の安定に繋がっています。
2.子どもの「おいしい」の声を直接聞ける
保育園の調理師として働くメリットは、子ども達から「おいしい」という言葉を直接聞けることです。
実際、「今日の給食おいしかったよ」「おかわりしたよ」と、給食室まで言いに来てくれる子がたくさんいます。
また、子ども達が食べている姿を直接見られるのも嬉しいポイントです。
日々、子ども達から満面の笑みで感想を言ってもらえると、仕事のやりがいに直結するでしょう。
3.献立のレパートリーが増える
保育園で調理の仕事を続けていれば、自分自身の献立のレパートリーが増えていきます。
保育園の給食の献立は、和・洋・中と様々なジャンルの食事の組み合わせのため、家では作ったことのないメニューをつくることもあるでしょう。
調理の数をこなすうちにどんどん新しい献立を習得し、レパートリーが自然に増えていきます。
レパートリーが増えると料理自体が楽しくなり、自分の家族にも喜ばれるでしょう。
保育園の調理師の仕事内容におけるデメリット3選
保育園の調理師の仕事内容におけるデメリットを3つ紹介します。
- 給食の時間が決まっていて、素早い行動が必要
- 離乳食やアレルギー対応が大変
- 体力が必要
保育園の調理師として働く上でデメリットもありますが、事前の準備次第で仕事がしやすくなるでしょう。
1.時間が決まっている
保育園調理師の仕事内容におけるデメリットは、時間が決まっている点です。
保育園では、給食の時間が決まっており、間に合わせるために時間に追われることが多いです。
特に、使用食材や調理工程が多い献立や行事食のときには、前もって調理担当者で段取りを話し合っておく必要があります。
給食の時間が遅くなってしまうと、食後の着替えや午睡の時間に影響が及ぶため、給食の提供時間は守らなければなりません。
時間を守るには、
「何時までに食材の切り込みを終える」「何時から主菜を作る」
など、各調理工程の目安がわかってきてメリハリのある作業ができます。
時間通りに終われば、余裕を持って清掃や片付けができ、残業なく定時で帰れるでしょう。
2.離乳食やアレルギー対応が大変
離乳食やアレルギーのある園児の食事対応が大変な点も、デメリットの一つです。
離乳食とアレルギー除去食は個別に対応が必要なため、他の子どもたちの給食と一緒に調理できないことがあります。
たとえば離乳食では、保育士や各家庭と相談しながら進めていき、月齢や発達段階に応じて段階的に対応していきます。
一方、アレルギー除去食については、アレルゲンの混入防止や食事の誤配を防ぐため、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」(厚生労働省,2019)に沿った、より慎重な調理・配膳が求められます。
事故を防ぐためにかなり神経を使いますが、他の子ども達と同じように楽しく食事をしている様子を見ると安心感と達成感が得られるでしょう。
離乳食やアレルギーの対応は大変ですが、子ども達が笑顔で食事できるようにサポートするというやりがいは、十分にあります。
出典:厚生労働省.(2019).保育所におけるアレルギー対応ガイドライン
3.体力が必要
調理師の仕事では、ある程度の体力が必要かもしれません。
保育園の調理師の仕事は、以下のような状況に置かれることが大半です。
- 給食・おやつ作りや片付け・清掃など、立ち仕事が多い
- 園児数が多いと調理器具も大きく、調理の際に力が必要になる
- 火を扱う機会が多いため、空量設備があっても高温多湿で1年中暑い
仕事内容や環境面を考慮すると、
体力があった方が働きやすいでしょう。
しかし、働いていくうちに自然と体力がついてくるため、最初から完璧な体力が必要なわけではありません。
無理なく慣れていける環境であるため、心配しすぎず前向きに取り組むことが大切です。
保育園の調理師に向いている人は「料理と子どもが好きな人」
保育園の調理師は、料理と子どもが好きな人に向いている仕事です。
料理が苦手であっても、上手くなりたいという向上心があれば苦痛を感じず働き続けられるでしょう。
手作りおやつを作るため、お菓子作りに抵抗がない人にもおすすめです。
また、保育園の調理師は、食育活動に携わったり直接声を聞いたりと子ども達に関わる機会が多いのが特徴です。
満面の笑みで「おいしかったよ!」と言われると、保育園で働くやりがいを大きく感じられるでしょう。
料理と子どもが好きであれば、長く働ける仕事といえます。
保育園の調理師の仕事内容は調理だけではない
保育園の調理師の仕事内容は、給食やおやつを作るだけではありません。
配膳・下膳、衛生管理、食材の発注・管理、さらに食育活動まで、子どもたちの食と成長を支える幅広い役割がを担っています。
栄養士や保育士と連携しながら、園全体の安全と子どもたちの食育に関わる重要なポジションと言えるでしょう。
子どもの「おいしい!」という声を直接聞けるやりがいがあり、調理スキルを磨きながら長く続けられる点も魅力です。
本記事を参考に、子ども達に元気をもらえる保育園の調理師の仕事を検討してみてはいかがでしょうか。
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